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補機バッテリーとは?普通のバッテリーとの違いと仕組みをわかりやすく解説
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2023年09月27日
補機バッテリーは、近年の自動車技術の進化に欠かせない要素となっています。
特にハイブリッド車や電気自動車において、補機バッテリーはエネルギー効率の向上や低燃費化に寄与し、持続可能なモビリティの実現に貢献しています。
本記事では、補機バッテリーについて詳しく掘り下げ、その役割、価格、仕組み、充電方法、保守について解説します。
補機バッテリーの役割
ハイブリッド車の動作には、異なるバッテリーシステムが必要不可欠です。
その中でも、「補機バッテリー」というバッテリーが電気系統において中心的な役割を果たしています。
ハイブリッド車の2つの重要なバッテリーシステム
ハイブリッド車は、一般的な自動車とは異なり、2つの主要なバッテリーを搭載しています。
補機バッテリーは、車の基本的な電子機器や制御システムの動作に用いられます。
一方、高電圧の主走行用バッテリーは、車の走行エネルギーを供給するためのものです。
ハイブリッド車を起動する際、まず補機バッテリーからの電源が必要となります。
これにより、車両の安全性を確保した上で、高電圧の主走行用バッテリーへと電力供給が行われるのです。
さらに、エンジンやブレーキの制御、ドアのロック機構、ナビゲーションシステムなどの電子機器も、この補機バッテリーから得られる12Vの電源に依存して動作します。
多くのハイブリッド車では、補機バッテリーはトランク内や座席の下といった場所に設置されています。
その存在は目立たないかもしれませんが、ハイブリッド車のスムーズな運転には欠かせない部分です。
補機バッテリーの価格はどれくらい?
バッテリーの価格は純正品で3万円程度です。
たとえば、トヨタのハイブリッド車用の独自補機バッテリーは、一般的な同じサイズのバッテリーよりも2~3倍高額です。
適合品でも1.5万円程度なので、高い部類と言えます。
その高価な理由は、補機バッテリーの構造と通常のバッテリーとの根本的な違いに起因しています。
通常の自動車バッテリーは、充電(使用)時にガスを発生させますが、これはエンジンルームにある場合にはあまり問題になりません。
しかし、補機バッテリーは通常、室内に設置されるため、ガスの発生を制御し、室外に排出する必要があります。
そのため、補機バッテリーは「VRLA(バルブ・レギュレイテッド・リード・アシッド)」と呼ばれる特別な構造を持っています。
これにより、ガスを制御し、電解液内での吸収と還元を行いつつ、安全に室外に排出することができるのです。
補機バッテリーと旧来の自動車バッテリーの違い
補機バッテリーと旧来の自動車用バッテリーの違いは、主に彼用途と充電/放電の特性に基づいています。
補機バッテリーは、ハイブリッド車や電気自動車におけるナビゲーション、電動ウィンドウ、電動ドアロックなど、車内の電子機器を駆動するのに使われます
比較的電力要件が低い電子機器に使用されるため、低い電圧で運用されるのが普通です。
旧来の自動車バッテリーは、エンジンの始動などにも使われるため高い電圧で運用されています。
また、充電方法も違います。
補機バッテリーは基本的に充電システムから充電され、エンジン稼働中に充電される仕組みです。
しかし旧来の自動車バッテリーは、エンジン始動時に充電されるようになっています。
補機バッテリーの内部構造
補機バッテリーは、技術的に進化したリチウムイオンバッテリーや伝統的なニッケル・水素バッテリーなどの技術を採用している場合が多いです。
電池セル
補機バッテリーは、複数の電池セルで構成されています。
これらの電池セルは、通常、リード酸バッテリー技術を使用しており、各セルは特定の容量を持っています。
セパレータ
各電池セル内には、正極板と負極板を区切るセパレータがあります。
セパレータは、正極と負極が直接接触しないようにし、短絡を防ぎます。
セパレータは通常、ポリエチレンやガラス繊維から作られています。
電解液
電解液は電池セル内で化学反応を可能にし、電子の移動を促進します。
補機バッテリーに使用される電解液は、硫酸水溶液です。
この電解液はセル内で化学反応を起こすために重要です。
正極板と負極板
各電池セルには、正極板(通常は鉛過硫酸)と負極板(通常は鉛)があります。
これらの板は電解液と反応して電子を生成し、電流を生成します。
電極端子
電極端子は、電池の電力を外部デバイスやシステムに供給するための接続点です。
通常、補機バッテリーには複数の端子があり、複数の電子機器を接続できるようになっています。
ケースとキャップ
補機バッテリーは、プラスチックまたはその他の材料で作られたケースに収められています。
ケースは電池セルを保護し、外部からの物理的なダメージを防ぎます。
バッテリーケースにはキャップが付いており、必要に応じて電解液を補充することができます。
補機バッテリーは、車内の電子機器を駆動し、エンジンが停止している間でも電力を供給するために設計されています。
そのため、電圧や容量などの特性が通常、スターターバッテリーとは異なります。
補機バッテリーの充電メカニズム
補機バッテリーの充電メカニズムは、車両の運転特性に密接に連動しています。
たとえば、ブレーキをかけるときや速度を落とすときに、通常、失われるエネルギーを捉えてバッテリーに充電することができる回生ブレーキ技術が採用されています。
この回生技術は、エネルギーの無駄を大幅に減少させます。
さらに、外部の電源から直接充電する場合、家庭の電源や公共の充電ステーションで専用の充電器を介して効率的にバッテリーを充電することが可能です。
補機バッテリーはハイブリッドや電気自動車に欠かせない存在
補機バッテリーは、ハイブリッド車や電気自動車において欠かせない要素であり、自動車産業の未来においても中心的な役割を果たすことでしょう。
その価格や性能は多様であり、購入時には慎重な選択が必要です。
また、補機バッテリーの充電と保守にも注意を払うことが、長寿命化と最適な性能の維持につながります。
補機バッテリーの技術は今後も進化し、自動車の持続可能性とエネルギー効率を向上させることが予想されます。